文の其方

文を吟ってます

アンマ

セレブレーションの朝。

私の母とアンマが椅子に個々に並んで座っていた。先にアンマが私の左手に目に入った。

アンマ!キレイ!
私は感嘆の声をあげた。

アンマは赤い衣装を身に纏い、金でできた腕輪やネックレスで飾っていた。

アンマは、ゆったりと寛ぐ様に座っていた。

穏やかに微笑んでいた。

美しかった。


お次は右手に目に入った、私の母。

母は深い緑色の衣装を身につけ、太いゴールドのチェーンに大きなペリドットの石を通した首輪をつけていた。

母は、どや顔でどや?!という感じで私を見た。

寛ぐというよりは、のさばるという感じ。

醜かった。

緑色のヒキガエルがのさばり返っていた。

アンマをキレイ!と言った手前、褒めない訳にはいかなかった。

綺麗な衣装だね。新しく買ったの?

当たり障りのない言葉で、嘘のない言葉を発するのが精一杯だった。

母は満足そうに頷いた。