文の其方

文を吟ってます

土下座

英語をやめなければいけない危機は2度あった。

1度目はいつだったか…高学年の時だったと思う。

先生に、月謝袋を渡してから暫くして袋に月謝が入って無かった事を告げられた。

驚いた。

月謝は渡す前日の晩に母から袋を貰う。
それを、青地に白い地球儀の絵が入ったビニールのスクールバッグにそのまま入れる。

その事を母に告げ、父にも告げた。

父が言った。

さてどうしよう?
入れた筈の月謝が無い。
これから習い続けるのなら、もう1度月謝を払わなくてはいけない。

私は続けたいと言った。

では、そんなに続けたいなら土下座をして頼めと父は言った。

不可思議な気持ちだった。

私はいつもの様に月謝袋を先生に渡した。
ただ、それだけ。

何も悪い事、してないのになぁ。
でも、続けたいなら頼まないといけないんだよなぁ。

もう1度、月謝を払って貰わなきゃいけないから…
でも、土下座は何だか嫌だなぁ。

でも、しないとお前のやる気はそんなモンか?!とか言われるの目に見えてるなぁ…

大好きな英語。
楽しい英語。

こんな事でやめたくなかった。

続けさせて下さい。
お願いします。

私は土下座をした。

頭を額付けた時、何かが鳩尾から抜け出た気持ちになった。

言語化するのが難しいのだけど

虚脱 虚無 喪失

そんな感じの言葉がしっくりくるかなぁ。

更なるダブルバインド

私は英語を続ける事になった。